撮影の基本編Vol4
■シリーズ2 『撮影の巻』
【基本編】Vol4
ビデオ撮影ツール紹介 ~あると楽しい、撮影が広がる便利グッズ~
●今まで作ったツーリングムービーを見ていただいた方から
「この走行シーンは、どうやって撮ったの?」という質問を
よくいただきます。
特にバイクでの撮影は振動や風の影響を受けやすいので、
普通に風景や人物を撮影するのとは違う色々な方法を
試行錯誤してきました。
ツーリングビデオ制作は日常の仕事とは別世界の趣味なので、
色々と失敗を繰り返しながら、
「こんなシーンを撮るためには、どうやったらいいか?」
「こんなアングルで撮ると楽しいかも?」といったことを
考えて、想像力と遊び心を働かせてチャレンジしています。
今回は、そんな過程で見つけた「撮影ツール」と「使い方」をご紹介します。
(1)バイクのハンドルにビデオカメラを固定するツール
- バイクを走らせながら走行シーンを撮るためのツールとして、長年使っているのがコレ。
<SLIK ロアーII<6021・クランプヘッド32 >
三脚で有名なカメラ用品メーカー「SLIK」から 発売されている「ロアーII<6021・クランプヘッド32>」という商品です。
本来は、三脚のパイプに取り付けて、ローアングル撮影をする時に使うようです。
<SLIK ロアーII<6021・クランプヘッド32 使用例>
★この商品を見た時に、三脚のパイプをバイクのハンドルに見立てて、
「使えるかな?」とやってみたところ、ぴったり!
ハマったんです。
実際にハンドルに取り付けた写真はコレ。
<SLIK ロアーII6021・クランプヘッド32 取り付け写真>
○取り付け可能なパイプ径は22mmから32mmとなっているので、
ほとんどのパイプハンドルに適合するサイズだと思いますが、
●このサイズ以外に28mmから38mm、35mmから45mmのパイプ径に対応するシリーズがあります。
取り付けはハンドルパイプを挟み込んでネジ込むだけですが、
クラッチケーブルやウインカーの配線を傷つけないように気を付ける必要があります。
ビデオカメラを固定する「雲台」に相当する部分は、
自由に角度を変えることができるので、走り出した時に
水平レベルが保てるように調整します。
SLIK ロアーII クランプヘッド32取り付け
かなりしっかりとビデオカメラを固定できますが、
ハンドルの形状によって取り付けることができる
位置が変わってきます。
更にカウル付きのバイクの場合は取り付け難いとも
思うのでネイキッドやアメリカン、デュアルパーパス
モデルのバイクに向いているツールでしょう。
(2)ヘルメットにビデオカメラを固定するツール
- ハンドルにビデオカメラを取り付けた場合、
路面の状況によって振動をまともに拾うので、
映像のブレやコマ落ちなどの不具合が生じる
ことがあります。 - 特に林道走行では大きなブレと共に振動による
カメラの破損も心配になります。
そこでカメラと本体が別体式のビデオカメラ「まめカム」の小ささを生かして
ヘルメットにカメラを取り付け、走行シーンを撮影する場面が多くなります。
ヘルメットメーカーや、モデルにもよりますが、
私が愛用しているアライヘルメットのSZシリーズや
ツアークロスには、ヘルメットを洗った時に水を流す
排水穴がテッペンあります。
普段はこの穴を埋めるキャップがついていますが、
このキャップをはずして、中からワッシャをかました
ボルトを通しここにに取り付けた小型「自由雲台」に、
まめカムのカメラを固定する…という方法を使います。
★取り付け方については、いろいろと試行錯誤を重ねてきて、
現在はこの方法で撮影しています。
<小型自由雲台 SLIK SBH-60>
- 小型の自由雲台は写真用品メーカーから色々なタイプや
サイズが発売されていますが、私が使っているのは
「SLIK SBH-60」という商品です。
- この雲台は、よく利用している大型カメラ量販店の中で、
一番小さいサイズだったので購入しましたが、使ってみて
気付いたのは雲台とカメラの固定の確実さは、
雲台の大きさに比例する…ということです。
(これは確実に真理です=用務員イタチョー太田←プロの意見)
小さな雲台は、見た目もコンパクトにカメラが取り付けられ、
重量も軽いのですが、その分、固定ネジの強度が弱く、
少しの力が加わっただけでカメラの角度が変わってしまう
場合があるので、注意が必要なのです。
この小型雲台をヘルメットに取り付けるボルトは、
長さ50mm 、口径6mmの普通にホームセンターで
売っているものを使用しています。
<ヘルメットの中の状態>
- このヘルメットの穴は、内装の発砲スチロールに
開けられたたまま特に補強はされていないので、
固定するには大きめのワッシャが必要です。
○ヘルメットに取り付けると、こういう感じになります。
<ヘルメットにカメラとまめカム本体を取り付けた状態>
- この取り付け方法の良いところはバイク自体の振動を
受けにくいということと、ライダーの頭が動いた方向
(ライダーの目線の方向)にカメラが向くので、
よりライダーの視点で映像を撮ることができます。
- デメリットはライディング中にキョロキョロし過ぎると、
画面が動きすぎて気持ち悪い映像となってしまうことと、
カメラから長く伸びるコードの処理に工夫が必要な点です。
★このコードの処理をしないと、コードが風に煽られて
走行を妨げることがあるので、要注意です。
頭上にあるカメラがとらえた映像をチェックするために、
「まめカム」の本体を、先の「SLIK ロアーII<6021・
クランプヘッド32」に取り付けています。
「まめカム」本体の裏側に、このクランプヘッドの
ネジ径と同じ固定穴があるので、簡単に取り付ける
ことができます。
- これでヘルメットの上に取り付けたカメラで
撮影している映像を、ライブにモニタリングする
ことができ手元で録画のオン・オフが簡単に行えます。
ヘルメットの上のカメラを後ろ向きに取り付けると
自分の後ろの映像が撮れるので、マスツーリングなどで
自分の後ろを走るライダーの走行シーンを撮ることができます。
<後ろ向きに取り付けた状態>
- カメラから延びるコードの処理は写真のように
粘着式のマジックテープでヘルメットに固定して、
ヘルメットから垂れるコードは、上からジャケットを
羽織ることで解決しています。
タンクなどにビデオカメラを固定するツール
- 「まめカム」はカメラと本体が別体になっているので、
普通のビデオカメラでは取り付けることが難しい場所に
取り付けて、普通のライダーの目線では体験しにくい
アングルで走行シーンを撮影することができます。
○そんな撮影をアシストするツールとして、強力な吸盤と
小さな雲台が一体となった商品を見つけました。
- 写真用品メーカー「エツミ」から発売されている
「デジカメ吸盤君」です。
<エツミ デジカメ吸盤君 写真>
- 取り付ける場所はガソリンタンクなど表面が平らな場所に
限られますが、大型の吸盤を採用していることと
吸盤のセンターに設けられたネジを締め込むことによって、
吸盤と取り付け面の間の空気を抜いて、
より圧着度を高めることができるので、
想像以上にしっかりと固定することができます。
<エツミ デジカメ吸盤君 取り付け>
吸盤の固定度に対して、雲台の安定度が低いので、
取り付けたカメラの角度が変わってしまうことが
良くありました。
こまめな角度調整は必要になりますが、
普段のライディングポジションとは違う、
面白い映像を撮影することができます。
三脚によるビデオカメラの固定
- ビデオカメラを三脚に固定して使うっていうことは、
普段はあまり無いのかもしれませんね。
特に人物をスナップ的に撮る場合は、ほとんどが
手持ちでの撮影になると思います。
- ただ、風景をしっかり見せる場合や、
高倍率なズーム撮影を行う時は、
「ブレ」を防ぐために三脚を使用します。
- 今回のシリーズテーマであるツーリングムービー撮影
において、自分撮りを行う場合には必須の撮影ツールに
なるのです。
★三脚はスチールカメラ用とビデオカメラ用がありますが、
パン(ビデオカメラを水平方向に振って撮影する)や、
ティルト(ビデオカメラを垂直方向に振って撮影する)が
しやすいのと、ビデオカメラの端子に接続することで、
三脚側でカメラのON/OFFや、ズーミングができる
リモコン機能も付いているので、ビデオカメラ用の三脚の方が
使いやすいと思います。
私はSONYの「VCT-670RM」という三脚を使っています。
<三脚 SONY VCT-670RM 写真>
- 軽量コンパクトで、折りたたんだ長さが
リアのトップケース内に収まるので重宝しています。
ミニ三脚によるビデオカメラの固定
- 「三脚があれば良いのはわかるけど、
かさばるのは嫌やーっ」て方には、
これがおススメです。
★カメラ用品メーカー「HAKUBA」から発売されている
「gorillapod(ゴリラポッド)」
<ミニ三脚 ゴリラポッド>
- この商品以外にも小型の三脚は色々と発売されていますが、
この商品は脚の形状がご覧のようにフレキシブルな関節状に
なっていて、自由に折り曲げることができます。
- 通常の三脚のように地面に置いてローアングル撮影に
使うことはもちろん、この脚を木の枝に巻きつけたりして、
ハイアングル撮影にも使えます。
- 大きさは何種類かあるようですが、私は一番小さなタイプを
使っています。
- サイズは長さが15cm、重さが45gと非常にコンパクト。
- 重いカメラの固定には適しませんが、バッグにひとつ
忍ばせておくと非常に重宝する三脚だと思います。
以上ビデオカメラと、撮影ツールについてご紹介させて
いただきました。
次回は、これらを使ってのツーリングムービーの
撮影について、お話したいと思います。
今回も読んでいただいて、ありがとうございました。