タンデム撮り
タンデム撮りパターン
☆過去4回、夏休みに娘とタンデムで北海道や九州をツーリングしてきました。
タンデムで走っている時、リアシートのタンデマーは基本的に暇なので、
たまにビデオカメラを持たせて撮影をさせると、自走パターンとは違う視点
(まさしく、タンデマーの視点)での映像が撮れて楽しいビデオになりました。
ただ安全に快適にタンデマーにビデオ撮影をしてもらおうと思うと、
それなりにバイクの種類を選ぶかも知れません。つまりリアシートが狭く
前傾姿勢でタンデムをしなければならないスーパースポーツ系はチョット辛く、
ライダーもタンデマーも垂直に近い形で座れる
マルチパーパス系の方が撮りやすい…かも知れません。
いずれにしてもリアシートのタンデマーは、ビデオカメラの操作のために
余計なことをしなければならないので、ライダーは急加速や急制動は厳禁。
スピードは控えめにして、コーナーリング時あまりバイクをバンクさせず、
とにかく「マイルド」なライディングに努めてください。
これはタンデマーの安全を守ると共に、結果的にマイルドなライディングの方が、
綺麗で見やすい映像を撮ることができます。
- それでは、具体的なタンデムパターンの撮影のちょっとしたアイデアをご紹介します。
1 ライダーを客観的にとらえる
☆ハンドルに取り付けたカメラでは、ライダー自身を撮ることができませんが、
ライダーの後ろに位置するタンデマーの視線にはライダーが入っているので、
ライダーの肩越しにカメラを構えて、ヘルメットや腕などを画角に納めると、
単に風景や道が映っているだけとは違う「旅感」が表現できます。
またバイクのメーターやカウル越しの風景、ライダーを横から捉えたカットなど…
ちょっとカメラの位置を変えてみると、ライダーを客観的にとらえた映像を撮ることができます。
2 ライダーの周りの風景をとらえる
☆ライディング中のライダーの脇見運転は禁止ですが、タンデマーは
左右や上下の風景を自由に楽しむことができます。この自由度を利用して、
走っているライダーの周りの風景も積極的に撮影してもらいましょう。
- 例えば、道路の両側の牧場の風景
- 例えば、夕陽に照らされた自分たちのシルエット
- 例えば、ライダーの頭上に広がる真っ青な空 など
後述の「編集の巻」でお話をする予定ですが、
観る人を飽きさせないツーリングムービーづくりを
考えた場合、様々な角度からツーリングを表現する
映像シーンが数多く必要となります。
こういった風景がタンデムシートから
目に止まるかどうかは、そのタンデマーの
旅心にもよりますが、
ライダーが気に入った風景があれば、
「この風景を撮って」という合図を決めておけば、
ライディング中のコミュニケーションにも
なって楽しいですよ。
3 ブレない撮り方
☆タンデマーも、路面の状況によって細かい振動を受けながら走っているわけですが、
できるだけブレの少ない綺麗な映像を撮影して欲しいものです。
基本的なビデオカメラの撮影方法と同じすが、
- 脇をしっかりと締めて、できるだけカメラの位置を固定させる
- やたらに、カメラを振りまわさない
- やたらに、ズームを多用しない。
★この3点に注意すれば、安定して見やすい映像を撮ることができます。
4 ライダーとタンデマーの会話を入れる
☆走行中は風の影響で、撮影した映像の音声は耳障りなだけになってしまいがちですが、
できるだけスピードを緩めてゆっくりと走りながら、その時感じたことや、
感想などをビデオの映像と共に録音しておくと、楽しいツーリングムービーになります。
これは、恋人同士や、家族とのツーリングには、是非おススメします
友達撮りパターン
☆友達と複数台でツーリングに行った時には、
是非ツーリングビデオを撮影してみてください。
少々撮影の仕方が悪くても、少々編集がオソマツでも(笑)、
やはり自分達が走っているシーンを見ることができ、
わいわいガヤガヤとお互いを撮り合いできるのは、
友達同士のツーリングならではの楽しみだと思います。
自分がバイクで走りながら、友達の走行シーンを撮影する方法は、
今までご紹介してきた「自走撮りパターン」と、「タンデム撮りパターン」の
テクニックに全て含まれています。
要は、自分の前後に友達ライダーが走っているか、いないかの違いだけです。
特に、ヘルメットに小型ビデオカメラを
“後ろ向きに”取り付けて撮影すると、
走っている友達を真正面から撮影できるので、
とても楽しい映像になりますね。
それではここで撮影者がバイクから下りて、走っている友達ライダーを撮影する時の
テクニックや注意点などをお伝えしたいと思います。
1、ビデオカメラの構え方
☆一瞬の時間を止める写真に対して、ムービーは連続する時間を記録するものなので、
いかに安定した見やすい映像を撮るかがポイントとなります。
最新のビデオカメラには優れた「手ぶれ補正機能」が搭載されているので、
少々のブレはカメラがカバーしてくれますが、特にズーム側で撮影する場合は、
やはり構え方で大きく映像のクオリティが変わってきます。
ビデオカメラには、右手をホールドしてくれるベルトがあるので、
ついつい片手持ちで撮影してしまいがちですが、
是非とも両手でカメラを持って撮影してみてください。
ただし一眼レフカメラを両手でホールドするのとは違い、
ビデオカメラの場合はもっと簡単です。
最近のビデオカメラのほとんどは、液晶モニターを
見ながらの撮影となりますので、
右手でカメラをしっかりホールドして、左手を
液晶モニターの角に添えるという方法がおススメです。
そして、もうひとつ大切なのが、特にカメラを
ホールドする右脇をしっかりとしめるということです。
これだけのことで、映像の安定感がグッと増します。
2、ビデオカメラを振り回さない
☆初心者が撮影したビデオに多いのが、やたらにビデオカメラを振り回す映像です。
これは、撮影する人が普段目で物を見る時と同じ感覚で、
自分が興味を持った被写体に向けてカメラを動かして
しまうのが原因ですが、この映像を大きな画面で見せられたら、
ぐるぐると目が回って気分が悪くなってしまいます。
特に大勢の友達とツーリングしている場合、
彼も撮りたい、彼女も撮りたい…となるのは仕方がないので、
この場合は、ワンシーンであちこち撮らずに、A君でワンカット、Bさんでワンカット…と、
被写体ごとにシーンを分けて撮影することをお勧めします。
そして、そのシーン分けされた映像をつないでいくのが「ビデオ編集」の基本になります。
見やすいムービー作品は、様々なシーンが
テンポよく編集で繋ぎ合わされています。
撮影する時に、編集のことを想定しながら
カット割りして撮影するということも、
大切なことなんですね。
3、ワンシーンの長さは余裕を持って
☆ダラダラとした長いカットは見ていて辛いものがありますが、
逆に短すぎるカットも疲れてしまいますね。
ワンシーンの長さは、被写体が動くものか?動かないものか?や、
どう見せたいかにもよるので一概に言えませんが、
編集でのテンポを考えると、5~10秒程度が一つの目安になる
と思います。
そして大切なのは「見せたいシーン」の前後に数秒間の余裕を
持って撮影することです。
これは、編集時にシーンとシーンを繋ぐ際に「のりしろ」に相当する時間が必要になるので、
この余裕を持って撮影しておけば、見せたいシーンを最初から最後まで
見せることができ、編集がしやすくなります。
4、ズームは可能な限りゆっくりと
☆ビデオカメラの魅力の一つに、高倍率なズーム機能がありますが、
この機能も使い方によっては、とても見辛い映像になってしまいます。
ズーム撮影で一番困るのが映像のブレですね。
少々面倒ですが、高倍率のズーム撮影をする場合は、可能な限り三脚を使用することをお勧めします。
ズームを使うテクニックには、被写体に徐々に寄って行く
「ズームイン」と、
あらかじめズームしておいた被写体から、徐々に離れて行く
「ズームアウト」があります。
これは単純に被写体を拡大するか、
縮小するかの違いだけではなく、
映像を見る人に、その被写体をどう見せたいか?
という表現手法に関わってきます。
例えば、草原などの広い風景の中を遠くから
走って来るバイクを撮影する時「ズームイン」を使うと、
映像を見る人は、どんどんと拡大されてくるライダーに
気持ちが集中されていくのに対して、
あらかじめズームで拡大されたライダーの映像から、
「ズームアウト」で徐々に周りの草原の風景が現われてくると、
見る人はライダーよりも、ライダーが走っている風景の方に
意識が行くのではないでしょうか?
このように同じズーム撮影でも与える印象が
随分と違ってくるので、可能であれば、同じ被写体を
「ズームイン」と「ズームアウト」の両方で撮影しておくと、
そのシーンの前後の繋がりとの関係からも、
編集の幅が広がります。
そしてズーム撮影で大切なことは、
ズームレバーをできるだけゆっくりと操作することです。
演出として一気にズームする場合もありますが、
見やすい映像の撮影の為には、一定のスピードで
ゆっくりとズームレバーを操作してください。
★ただしビデオカメラのメーカーやモデルによって、
このゆっくりとしたズーミングがやりやすい機種と、
そうでない機種がありますので、
- もしビデオカメラの購入を考えられている方が
いらっしゃれば、ぜひ実際に店頭でズーム操作を
されることをお勧めします。 - ポイントは、ある程度レバーに力を加えても、
じわーっとズームしてくれる機種が使いやすいですね。 - 逆に少しレバーに力を加えただけで、
一気にズームしてしまう機種は、
ズーミングの失敗が多くなってしまいます。
5、パンニング撮影
☆ビデオカメラを水平に移動させて撮影する方法をパンニングといいます。
(省略して、単に「パンする」とも言いますね)目の前を走り抜けるバイクや、
尾根筋のスカイラインを走るバイクなどを撮影する時に、とてもよく使うテクニックです。
この撮影は、今までご紹介してきた1~4の撮影テクニックの集大成的なものになります。
まず、映像がブレないようにカメラを両手で固定して、
ビデオカメラは走るバイクのスピードに合わせて
ゆっくりと動かし、映像の始まりと終わりに数秒間の
余裕を持たせて撮影して、ズームの操作は出来るだけ
ゆっくりと行う…といった具合です。
そして、ちょっとしたテクニックですが、
パンの始まる前と、パンが終了した後のカットを
フィックス(カメラを動かさない)で撮っておくと、
編集の繋がりがとても良くなります。
フィックスの長さは概ね5秒間程度あればいいと思います。
走行シーンの撮影以外にも、カメラの画角に収まりきらない
風景などを撮影する時などによく使うテクニックですが、
この時注意が必要なのは、パンニングした最後に見せたい
被写体を持って来るということです。
つまり、ゆっくりとカメラがパンしている映像を見る人は、
カメラが動いていく先に「何か」があることを期待しているので、
パンが終わった時に、なんでもないただの風景だったりすると、
見ている人は肩透かしを食ったような気持ちになるので、
撮影に入る前に、どこからどこまでを撮影するのかを決めてから、
カメラを回すといいと思います。
★パンニングもビデオ用の三脚を使えば、
カメラの水平を保ちながら、滑らかな動きで
カッコ良く走るライディングシーンを撮影できます。
ただ、なかなかツーリングの途中で三脚を立てて
撮影するのを面倒に思う人も多いと思いますので、
手持ち撮影でパンニングする場合は、
両手でビデオカメラを固定して脇を固めたら、
そのままの姿勢を保ちながら、
腰の回転で走るバイクを追いかける…
という方法で撮れば水平を保ちながら、
滑らかな撮影ができます。
こうして、しっかりと腕と腰でカメラを固定して撮影すると、
ブレを最小限に抑えることができるのですが、さすがに望遠ズームを使用すると、
なかなかブレを止めるのは難しいものです。
そこで、最近購入した補助ツールをご紹介しておきましょう。
- 写真用品メーカーの「エツミ」から発売されている
「カムコーダーサポート」という商品です。
☆これは今、取り組んでいる一眼レフムービーの撮影用に
購入したものなのですが、
首からぶら下げたストラップの先端に、
カメラをセットする雲台付きの伸縮性のアームが
取り付けられている商品です。
使い方は、アームの長さをカメラの液晶モニターが
自分の目線で確認しやすい高さに調整して、
右手で持ったアームを胸に押しつけるようにすると、
腕だけで保持するよりもしっかりとカメラを保持する
ことができます。
★この状態で、上記のように腰の回転を使って、
パンニングを行うと、カメラが上下にブレることがないので、
とても安定した映像を撮ることができます。
カメラと雲台は専用のクイックシューで取り付けが簡単で、
首にサッとかけるだけで使用することができるので、
三脚の設置が面倒な方や、三脚が使えない場合に
重宝する商品です。
以降、次回に続きます。今回もありがとう
ございました。